暫 | SHIBARAKU

 

暫(鎌倉権五郎景政)

原作 | 北條高史
制作 | 私
分類 | 不切正方形1枚
用紙 | 79 cm, 美濃和紙
身長 | 20 cm
出典 | 北條高史, 『北條高史折り紙作品集』, おりがみはうす, 2023

Shibaraku

Design | Takashi HOJO
Fold | Me
Category | Single Square-paper Folding without Cutting
Paper | 79 cm
Size | 20 cm
Source | Takashi HOJO, Origami Works of Takashi HOJO, ORIGAMI HOUSE, 2023


條高史さんの「暫」は、現代折り紙の象徴のひとつとして、一種の神聖なものとして扱われてきた、特別な作品です。

それがついに発売となった「北條高史折り紙作品集」に折り図が掲載されると聞き、我慢できずに購入し挑戦しました。


人生でいちばん難しい作品でした。

まず折り工程だけ見ても「465」という史上類を見ない長さであり、さらにその一つひとつの技術的難易度が極めて高い。

非常に痛快でありながら一瞬たりとも気が抜けないという、作者とシビアなゲームをしているような感覚でした。

特に怒涛のアンシンク(沈め折りと反対に沈められているものを引き出す)は強烈で、本気を出し続けないと死ぬ...!と思うほどでした。

そして北條作品にはお約束の仕上げ調整の難しさ。

折り図通りに折り進めても、作例のような姿にするにはそこからさらに幾度もの微調整が必要になります。

今回は北條さんによるオリジナル個体(1999)などを参考にしつつ、観客席を見上げながら左足を大きく踏み出し、身体全体で見得を切る様を想像してポージングしました。

既にたくさんの作例がネット上に投稿されていますが、あまり大きな動きを出している方がいらっしゃらなかったので、差別化の意味でも挑戦してみました。

暫は超人的な能力を持ちつつもまだ少年である設定ということで、そのあたりの荒々しさも出るようにしたつもりです。

また要所要所は糊付けしていますが、あからさまにガチガチに固めていることが分かるような極端なことはせずに、なるべく紙の重なりを生かして立体感が出るよう努めました。

なるべく紙に触らない、余計なことをしない、というのが最近心がけていることなので、この暫でも意識しました。


さて、もしもこの作品 に挑戦する方がいらっしゃれば、ぜひ丈夫な和紙を使うことをお勧めします。

作例では「まんだら」という商品名の美濃和紙の全紙を使いました。

可能な限りいい素材を使って、人間の負担を軽くしましょう(何度も助けられました)。

現在はたくさんの方々が同時に北條作品に挑戦していて、いろいろな作例を見ることができて楽しいです。

腕に自信のある方はぜひ挑んで、SNSなどで共有し合えたら嬉しいです。