時を愉しむ

ISSEY MIYAKE WATCH丨C

Designed by Ichiro Iwasaki


時計は好きなプロダクトのひとつだ。

相棒の一本を身につけて、仕事に打ち込む、街を歩く。
緊張の時も、穏やかな時も、いつも静かに、教えてくれる。

ただ、その役割の大きさゆえに、理想的な製品に出会うのがとても難しい。
僕が考える理想の腕時計は次のようになる。
・ミニマルなかたちである丨装飾のための装飾はいらない
・筐体・文字盤が黒である丨時の情報以外は黒子に徹するのが美しい
・針・目盛りが白である丨色づけのない時を知らせるのが時計の使命
文字にするとこれだけなのだが、いざ探してみるとこれがなかなか出会えない。

そんな中でついに見つけたのが、ISSEY MIYAKE WATCH丨C というクロノグラフだった。

ISSEY MIYAKE WATCHは、様々なプロダクトデザイナーによりデザインされ、SEIKOが製造する時計シリーズ。
ファッションブランドISSEY MIYAKEがプロデュースしている。
そのひとつ、"C"は、プロダクトデザイナー岩崎一郎氏による作である。

あっと思った。

彼の作品であるかつての携帯電話、iida G9, G11は、当時学生であった僕にとって憧れの製品であったのだ。
硬質かつ上質で、気品に満ちた道具。
こんな香りが、確かに”C”からも漂っていた。

細かい線の一本一本まで気に入って使っている。
今日も腕にはめて、時を愉しむ。