インサイド・アウト

October 12, 2015

メジロ

原作者 : 神谷哲史
分類 : 不切正方形1枚
出典 : 折紙探偵団マガジン153号

用紙 : 27cm ニューカラペ + ホイル紙 (裏打ち)
全長 : 約12cm

Japanese White-eye

Designer : Satoshi KAMIYA
Category : Single Square-paper Folding without Cutting
Diagram : ORIGAMI TANTEIDAN MAGAZINE No.153

Paper : 27cm
Length : 12cm



り紙には、自由に色が使えないという大きな制限があります。
その中で、紙の表だけでなく狙った場所に裏も出すことで表現の幅を広げるのが、インサイドアウト( 英語では Color Change )と呼ばれる技法です。

ところが私はこのインサイドアウトがあまり好きではありません。

それは、1色を2色にすることには大きな意味があると思うからです。

1色で表現しているときには、その1色はすべての色になることができます。
彫刻のようなイメージです。

ところが2色使うと決心した途端、すべてが変わります。
どの2色を使うのか、どこにどちらの色を割り当てるのかを悩むことを強いられるようになるのです。

そして、その悩みはきっと終わることがありません。
きっちり2色で表されたものなどほとんどないからです。

ここに特殊性があり、そのせいで私はインサイドアウトに身構えます。

ただその一方でこのメジロのように、インサイドアウトのわかりやすい効果に、直感的に魅力を感じることも事実です。

そこでインサイドアウトを自分の中でなるべく一般的化することを考えました。

結果は以下のようなものです。
  1. 色の割り当ては、対象をモノクロ化・ハイコントラスト化したときの境界で決める。ただし、彩度・明度が近いが明確に色が異なる場合などは例外として考慮する。
  2. 2色の割り当ては基本的に無彩色とする。ただし明確にある2色で構成されている場合はその限りではないが、弊害も生じやすい。
  3. 基本的なスタンスとして、デザイン化してシンプル化した対象をイメージすることにすると1.2.がやりやすくなる。
メジロの場合、2.の特例で黄緑と白を使うとすると、脚の色に弊害が生じます。
1.の段階では黄緑の背中側と同じ、暗い側に分類できるでしょうが、暗い側に黄緑を使おうとすると、実際は黒っぽい脚が黄緑になってしまい、違和感を与える可能性があります。
原作では白い側の色を出してありますが、それはこうしたことを考慮した結果かもしれません。
今回の制作でも悩んだ点でした。
また3.を考慮し、細部の作りこみは意識的に行いませんでした。

長々と書いてきた割には当然の結論かもしれませんが、とりあえず一度まとめることができました。
また話が進んだときは追記したいと思います。


作品についてですが、マガジンにあった「アクロバティックな姿勢で枝にとまる様子」を表現してみました。
少しわかりにくいですが、首は花を求めて右に曲げられています。
また糊を使わず紙の力で枝につかまっています。
その枝を模したスタンドは、新しい要素を取り入れました。
はからずして、ほぼ実物大になりました。