小鳥
原作: 神谷哲史
用紙: 27cm ビオトープ
折り図: 神谷哲史作品集2
June 21, 2014 |
この小鳥という作品は、整った完成形を得るのが非常に難しいもののひとつです。
それは、本作が360°全方位から鑑賞できる完全立体作品であることに起因します。
折り手はある工程以降立体の状態で作業しなければならないため、空中で紙を扱える技術がなければ上手く進めることができません。
また立体に関するセンスも必要だと感じています。
折り図通りに折れば作例のようになるというわけではないということです。
前回の2号機は作例を再現することに挑み、当時としてはだいたい達成できていました。
さて、この2号機(写真左)と比べると今回の3号機は別の作品のように見えるかもしれません。
そうなった経緯をお話ししましょう。
もともとこの作品は特定の種類をモチーフにしたものではないと思いますが、今回はモデルとなる種を決めてリアル志向で取り組むことにしました。
まず作品の特徴を探してみると、長くしっかりとした脚があることがわかります。
そのため小鳥の中では脚が強いツグミ類で、冬になると家にやってくる「ジョウビタキ」という種類に決めました。
"ヒタキ"という名前ですが現在はツグミ科に分類されています。
そしてこの鳥らしく見えるように数多くの工夫を盛り込みました。
続いてはそれらをご紹介します。
頭から見ていきましょう。
頭部は、もっとも見た目が変わった箇所のひとつです。
大幅に細くなり、そして小さくなりました。
次に翼ですが、ここは曲線も取り入れて仕上げました。
風切り羽の段折りの位置も仕上げの段階で変えました。
脚は、沈め折りの段階から力を入れてなるべく細くしています。
お腹は、中にティッシュペーパーを詰めた後丁寧に閉じて、ふっくらとさせました。
洋紙ではここが上手くいかないのではないかと心配でしたが、杞憂だったようです。
そして個人的に気に入っているのが尾羽です。
羽が何枚も重なっているように見えるようにしてみました。
結果的に、予想を上回る仕上がりになり、大変うれしく思っています。
幸せの青い鳥、何かいいことが起きるといいな。
最後に、指に留まらせてみました。
この作品は ORIGAMI CHALLENGE #5 のお題となっていた作品です。
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